【 おかしければ直せばいい。なければ創ればいい。】

「過失傷害は親告罪ではない」とする問題 *追記*

 はじめに、今回のは、法律(刑法)にご興味のない方は、避けて下さい(大変に堅苦しい話となります)
 ここから「過失傷害は親告罪ではない」とすることで起こった問題の追加対処です(この問題は今回で終わりにします)
 知人より関連する情報の提供がありました(Thank you.)
 それでは、何故、『親告罪』のようなものがあるのかとして、その理由(意義)を次のように挙げているのを多く見かけることがあります。
(1) 被害者の意思に反してその犯罪を起訴して公にするとかえって被害者の不利益になる。
 (例:強姦罪など)
(2) 被害が軽い場合に被害者の意思を無視してまで訴追する必要がない。
 (例:毀棄罪、著作権法違反など)
 はじめに、(1)と(2)の違いは分かるとして、私が非親告罪と捉えている過失傷害は、多くの方が(2)の被害が軽い場合に当たると思われているようです。
 しかし、過失であっても傷害とは、かすり傷から致死の手前までのことで、軽い傷害とは限りませんから親告罪に当らないでしょう。しかし、被害者の意思で告訴がなければ、犯罪を認知することが困難な場合があることから告訴が必要だと考えられます。
 これらの問題は、法律で親告罪の一覧でもあれば起こらないのですが、残念ながら法律(六法など)では、親告・送達、行為・行動などを含め言葉(日本語、構文)の説明はありません。
 ちょっと余談になりますが、辞書(Yahoo!)では親告罪を次のように扱っています。

  • 大辞泉:被害者または法律の定める者の告訴がなければ検察官が起訴できない犯罪。強姦(ごうかん)罪・名誉毀損(きそん)罪・器物損壊罪など。
  • 大辞林:被害者などによる告訴告発・請求が公訴の提起に必要とされる犯罪。強姦罪名誉毀損罪など。

 発生する事件(犯罪)の件数は、過失傷害罪も多く、物(器物損壊等)よりも人(過失傷害)の問題の方が重要だと思うのですが、なぜ明記せず、“など”に含めるのでしょう(物の損壊と共に傷害があった際は、比較して重い過失・業務を含む傷害罪として扱われことがあります)

 ありがたいことに、これらの貴重なご意見を頂いたと聞きました。はじめに「親告罪」にする意図の区別がつかない例えとして、

 依然として「告訴がなければ公訴を提起することができない」罪の中に、親告罪とそうでない罪があるという誤解に陥ったままになっています。
 そして、その違いは、「親告罪として告訴が必要」であることと、「単に告訴が必要」であることだと書いています。
 しかし、これ、同じですよね。
 親告罪という名前がついたら何か変わると思ってるんですかね??変わりませんけど。

 本当に困りました。親告罪非親告罪では、告訴できる者と時効期間などが大きく異なります。それとも、単に“告訴”という言葉にこだわっているだけかも知れません。例えば、“告訴”することを“申告”と捉え、“申告”と“親告”を混同していなければ幸いです。
 ちょうど、「未遂罪」を例えとする意見もありましたので、その際いに説明致します。

 次に旧「暴行罪」を例えとする意見があります。

 現在、別に条立てせず、項として親告罪が規定されているのは、過失傷害罪のみになっていますが、これは単に、「1つの章の中で1条だけが親告罪」という状況が、過失傷害罪だけになってしまったからであって、過失傷害罪だけが非親告罪なのではありません。
 例えば、第27章「傷害の罪」の中にある暴行罪(208条)は、今では親告罪ではありませんし、この章の中に他に親告罪はありませんよね。しかし、昭和22年改正前の暴行罪は親告罪であり、208条には2項がありました。その2項というのが、「前項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス」なのです。
 いうまでもなく、この章の中で親告罪だったのはこの暴行罪だけだったので、条立てせず、2項として規定したものです。
 見出しに「親告罪」と書かれていなくても、親告罪親告罪なのです。

 その章には親告罪が1条文だからと言って冗長にならないように法律(条令)では、他の章と異なる構文(構成)などに変えてもよろしいのでしょうか!? これでは体系的に意味不明となります。
 条文内で、その条文を「告訴がなければ公訴を提起することができない」とするのは、その条文が見出しで示した犯罪を公訴するために告訴が必要とするものです。
 逆に、昔は「暴行罪」も、告訴を必要としただけで、過失・故意の観点から改訂されたものと思われます(過失と違い故意による犯罪は、告訴しなくとも公訴されることになる)

 次に条文見出しから「未遂罪」を例えた意見があります。

 それは、条文の見出しに「未遂罪」と書かれているもの(例えば刑法203条)と、見出しには「未遂罪」と書かれてはいないが項として未遂の規定があるもの(例えば刑法215条2項)とが、全く同じ意味であるのと同じです。
 「未遂罪である未遂」と、「未遂罪でない未遂」があるわけではないように、「親告罪であって告訴が必要なもの」と、「親告罪ではないが告訴が必要なもの」があるわけではないのです。

 これで、「告訴がなければ公訴を提起することができない」と「親告罪」の違いが説明できそうです。
 はじめに、刑法では、「未遂罪」と「親告罪」では全く別のものです(もともと比較対象するものではないが、説明に使う)。
 逆に、刑法 第180条(親告罪)「第176条から第178条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない」をどのように解釈したか聞いてみたくなります。
 さて置き、簡単に伝えると、刑法 第8章に未遂罪が規定されています(無論、親告罪は規定されていません)
 この「未遂罪」から例えると、
 第8章 (未遂罪)第44条 「未遂を罰する場合は、各本条で定める」とあります。
 そう、未遂罪の各本条で「…罪の未遂は、罰する」とあります。これは、

  • 条文見出し(未遂罪)の条文では、未遂罪として罰する条(文・項)を明示しています。
  • 条文見出し(未遂罪以外)の条文では、その見出しの条文内の犯罪の未遂を罰することを示しています。

 …未遂罪は「未遂罪」を意味します。これと同様なら親告罪は「親告罪」となります。
 即ち、犯罪未遂を罪とすることに対して、親告罪は告訴が必要とするものです。
 これを、未遂罪は「…罪の未遂は、罰する」ものとして例えるならば、親告罪は「…罪は親告罪として、罰する」ではなく、親告罪として「告訴がなければ公訴を提起することができない」とするものです。
 次のように親告罪として告訴が必要なものと、他の犯罪として告訴が必要であるとする話です。

  • 条文見出し(親告罪)の条文では、親告罪として「告訴がなければ公訴を提起することができない」とする犯罪の条(文・項)を明示しています。
  • 条文見出し(親告罪以外)の条文では、その見出しの犯罪は「告訴がなければ公訴を提起することができない」ことを示すことになる。

 …を意味します。

 何か、法令構文というより、国語の文法説明をしているような気がするのは、私だけでしょうか。
 あぁ、まさかと思うが、名詞と動詞を混同して理解(解釈)してないよな!?
 例えば、“未遂罪”は名詞で、“未遂”・“罰する”が動詞です。“親告罪”を名詞ではなく動詞として扱っていれば最悪と言うより日本人失格となる。ひょっとして、“親告罪”という名詞を「告訴がなければ公訴を提起することができない」とする意味を持つ動詞として解釈するものが多いなら日本は法治国家ではなくなる。

 最悪…、これらの考え方を多くの警察官も持っている可能性があると捉えると、警察(検察)の対処手段が決まります(やはり、このような意見を聞かないといけないことを知りました)。だって、このような意見を持つことが想像(想定)することができないので助かります。
 最後に書物を引用した意見がありました(これは内容の意図することを理解しての話、ただ書籍にあったからかな?)

 それから蛇足。「大コンメンタール刑法」からの引用で、過失傷害罪について、
 「(前略)そこで、まず、被害者側の処罰意思を尊重することにして、親告罪として、訴追を被害者の意思にかからせることとし、(後略)」
 と記載されていることについては、何も述べていないんですね。

 まず、初めに「大コンメンタール刑法」という書物を目にしたことがないのでゴメンなさい。
 ここでは、過失傷害罪について、刑事告訴もあるが損害賠償もあり、訴追する人は少ないですよとしているように思えます。
 そして、ここで大切なことは、告訴(告発)するにしても「加害者に処罰を求める」とする被害者側の意思(意向)を尊重することを伝えたいものだと思う。
 よく他でも見ますが、「告訴・告発」と「親告罪として」は、被害者の処罰を求める意思という面では同様なことから誤って使ったものと思われます(私も誤字脱字を含めて、要点以外を伝える際にミスをすることが多々あります)
 本件の立場だと、公園の出入り口で大型犬に噛まれ、飼主が “噛まれた方が悪い”と言って立ち去ったら、私はその飼主に処罰を要求します(何度やられてもいい気持はしませんね、飼主と県警さん)。そうそう、前回までが、“望みます”でしたね(…で、情けを掛けた)
 それに過失傷害罪はおまけです(困ったことをする警察退治のね)。早く改善してもらわないと本当に困りますよ。

 もし、絵日記の「告訴状(差し障りがない部分)」を見られた方は気付いたかも知れませんが、事件(ワンが噛んだ)が起こったのは12月、警察署へ書類提出したのは翌年の3月と4月です。仮に過失傷害罪の時効が6ヶ月としても問題ありません(警察官も含め多くが過失傷害を親告罪と誤って認識していることは知っていたので、ちゃんと誤解のないように手を打ってあります)
 書類題名は告訴(告発)状ではありませんが、普通に理解力がある方なら被害者が「加害者に処罰を求める意思がある」と理解できるでしょう(何の連絡もありません)。また、告訴を行う目的からその文面内には事件(事象)番号を伝えてくれとしているのに連絡がなく、そこで状況はどうなったかの確認を取ると“あは”となっていました。現在でも、こまった意見を寄せた方を含め警察は、どれだけ多くの問題を抱え込んだか理解していないのでしょう(このような際に、私は羽交い絞めにしたと言うこともあります)

 先月見たと伝えた番組では、「法学教育の改革と法曹養成制度」の話の中で、現在では司法試験を希望する者の多くが、大学の法学部で学ぶと共に、司法試験の予備校などのダブルスクールを行っているようだとして、司法試験では予備校などの影響もあって、表面的な知識だけをもって、体系的な法律の理解、法的に考える力などが十分でない合格者が増えていると指摘していた。
 これらのことだったのでしょうか、御大切に。
 どちらにしても、過失傷害罪の問題は今回で終わりです。
−以上−