【 おかしければ直せばいい。なければ創ればいい。】

裁判の基本用語“送達”の意味(法令スキル)を確認する資料

 この問題は以前から伝えようと思いながらも忘れていました。ここで、設問を通して法令スキルの確認をお願い致します。この資料は裁判中であった知人から入手したものです。

 この資料は、裁判の基本用語にある“送達”の正確な意味合いを確認することにあります。
 なぜに、わざわざ、裁判用語“送達”の意味を辞書で調べるのではなく、“正確に”と前置きしながら担当者に相談(確認)することについて、はじめに説明をします。

 私の記憶によると、以前に裁判用語にある“送達”が多くの場合に誤って使われていると聞いたことがあります。また、現実に裁判中に、ある期日の起算日となる“送達を受けた日”の意味(日付)が、聞く人によって異なるので困っているそうです。

 そこで、大変失礼ですが、用語“送達”には2種類の意味があり、誤って使われることもあると理解(認識)している担当者に確認をお願いします。

 はじめに、辞書を引用します三省堂提供「大辞林 第二版」より)

そうたつ 【送達】(名)スル
(1)送って、相手方に届けること。
「弾丸を月世界に―するの演舌を/月世界旅行(勤)」
(2)訴訟上の書類の内容を了知させるため、裁判所が当事者や利害関係者に、書類を交付あるいは送付すること。

 一般に“送達”は次のように扱われている。

 送達は、特定の者に訴訟上の書類の内容を知る機会を与えるために、特定の者に特別の方式で書類を交付し、または交付を受ける機会を与える行為である。

 …と、一般図書を含め説明されていることから法律に関する仕事に従事する者の大半は、裁判で使用される“送達”は、行為であると理解している事実がある。

 では、具体的な例を使って確認します。

 一番分かり易い例として、控訴期間を使います(「判決書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない」と条文にはあります)

 私は、正当な理由なく控訴できる資格のある当事者によって控訴期間が異なることはない(また、異なるのは可笑しい)と考えています。そして、個人の都合によって、判決言渡しに出廷せず、特別送達(不在等も含む)にて送達物を受取ることは、正当な理由ではないと思っています。

 “送達”を、行為か/行動か…としての捉え方によって、判決書の送達において、“送達を受けた日”の意味が次の二つのケースに分かれて捉えられているようです。

  1. 裁判官から判決を言渡され判決書を送達された日(判決書に記述捺印されている日付)。
  2. 特別送達(郵便用語)などにより、送達物(判決書)を実際に受取った日。

 この例えからすると、どちらになるのでしょうか?
 よろしく法令スキルの確認をお願いします。

 この設問に関する判例は、S34.07.08 大法廷・決定 昭和33(ク)371「上告受理時間についてなした却下決定に対する特別抗告」(第13巻7号955頁)となります。

 追って、回答は判例を含めてお伝えします。

 そうそう、2008年4月22日に光市(山口県)の母子殺人事件の犯人、当時18歳に対する差戻し控訴審で、とうとう死刑(極刑)という判決がでました。 無論、死刑の良し・悪しは別にして、これで、やっと、裁判所は司法の悪しき慣習(規則慣行)に捉われないで法令に従い自分(担当判事)が判断するようになったことは喜ばしいことです。

 本当に法令に従い自分が判断することが大切だと考えます(誰々が言っていた、誰々の本に書いていたではなくね)。そうすることで、やっと悪しき慣習に気付き改善することができるのでしょう(改善前の誤った判断を受けた人は災難ですよ)
 「送達」と「親告罪」も“おっとっと”となるのだが、よくWeb上で見掛ける困った時効期間に敷金返却(賃貸)問題があります(機会をみて説明させていただきます)。また、裁判用語の「送達」を正しく解釈できない方の多くは、「過失傷害罪は親告罪です」とされているようです(みなさん、悪気がないので逆に困ります)

−以上−